「倫理に出会って」をお届けします No.20

現在、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)予防のため、活動を休止しております。

この未曽有の危機の今こそ倫理が必要ではありますが、なかなか集うことができず、
皆様に倫理の良さをご理解いただく機会がないのが現状です。

そこで皆様に少しでも倫理に触れていただくために
倫理体験をこのホームページに掲載しております。

有志による寄稿となります。
掲載は不定期となりますこと、ご了承くださいませ。

第20回は北上市倫理法人会 伊藤明美副会長です。

 


 

第13条 本を忘れず 末を乱さず

 

 

いつまでも自分は若いと思っていた。
いつまでも両親は変わらず、私の一番の理解者である。
いつまでも何かあったら両親に相談できる。甘えられる。
そんな風に思っていました。

 

しかし、歳はとる。一日一日と時は流れて…

週末は母を温泉に連れて行く!私の日課になっていました。
ところが最近、母と話していても
「楽しくない」「お金がなくなる」「近所の方が…」
と、愚痴を聞くことが多くなり、
「あれ!?変だな」
毎回同じことを言うのです。

まさか!?の坂(※1)。母が認知症に…
とてもショックで一年間私の心は立ち直れず、不安と苛立ち。

 

そんな時、東日本大震災に見舞われ、その日から父と母の介護を自宅にてスタートしました。

父は股関節から足を折り歩けず、車椅子。母は認知症。私の娘、孫も避難しての生活が始まりました。
父との言い争いが毎日絶えず、下の世話が一番大変。
体は動かずとも父の頭はしっかりしているので、言ってくることがどんどん私を暗くしていきました。
口を開けばケンカの連続。

そして、家に帰ると毎日聞かれるのが、
「〇〇(弟)はどこにいるのか!」
両親をおいて行方不明。父は、私ではダメだ!と言うのです。

今思うと、「父に認められたかった!!」のか、弟に対して「許せない!」
これがやきもちなのか!?

何とかしなければ…と思っていたところ、ある日のモーニングセミナーの講話の中で
ハガキ実践の話をうかがいました。
二人に向けて、毎日ハガキを書いている時間が想いをよせる時間と書き始めました。

 

2012年 ハガキ実践チャレンジ!
挫折。

 

2014年2月、富士研(※2)をきっかけに本気でスタート。
一日一通書き始めて丸6年。7年目に入り2,355通になり、数字に表すと、とてもびっくりでした。
ハガキを書くたびに父への想い、母への想いが深まり、自分も親になり、孫も出来、
両親の気持ちを少しずつ感じ、後悔したり、親の偉大さを実感したり、感謝とともに涙したり…。

 

親は後ろ姿を示して大変たくさんのことを学ばせてくれました。
今、幸せと感じて生きている有難さを実感しているのも両親のおかげ。
引き続きハガキ実践継続中!
これからも、一日一日、新たな想いで大切に生きていきます!

 

 

北上市倫理法人会
副会長 伊藤 明美

 


 

※1
まさかの坂…
人生に起こる出来事を坂道に例えた表現で、予測していかなったことが起こったことを表す。

 

※2
富士研…
富士高原研修所の通称。
経営者や企業幹部・一般社員または小・中高生など
それぞれを対象とした倫理実践セミナーの受講が可能な施設。