「倫理に出会って」をお届けします No.17
現在、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)予防のため、活動を休止しております。
この未曽有の危機の今こそ倫理が必要ではありますが、なかなか集うことができず、
皆様に倫理の良さをご理解いただく機会がないのが現状です。
そこで皆様に少しでも倫理に触れていただくために
倫理体験をこのホームページに掲載しております。
有志による寄稿となります。
掲載は不定期となりますこと、ご了承くださいませ。
第17回は盛岡市倫理法人会 金沢滋会長です。
生きる力 ~確実なものなど何もないから~
人は不確実な板の上を歩いている。
だって、つい半年前に世の中が新型コロナ感染症のために「緊急事態宣言」が出され、
飲み会すら開けなくなること、みなさんは想像できました?
私が倫理から学んだことは、自分次第で明日には違う人生が現れるかもしれない、ということです。
◆娘とのわかれ
もう24年前になります。私は家業を継ぐために新聞記者を辞め、九州から妻と2歳の娘を連れて
盛岡市に戻りました。
が、長閑ではない日々のあと、妻は娘を連れて九州へと戻っていきました。
胸を引き裂かれるように悲しかったけど「この子が成人するまでは会わないで欲しい」という
彼女の言葉を守り、私は17年間、娘とは会うことも、言葉や手紙を交わすこともしませんでした。
その後、再婚した私は、娘のことを心の中に封印しました。
再婚もして長い間ほっておいた、多分私は嫌われているに違いない…と心の中に
「愛娘」を一生封印することにしました。
◆各人の運命は各人の手中にあり
倫理と出会ったのは、震災の前年。最初は幽霊会員でしたが、役を引き受けて、
仕方なくモーニングセミナーに通うようになりました。
モーニングセミナーの輪読(※1)で「万象我師」の
「人は人、自分は自分と、別々のいきものだと考えるところに、人の世のいろいろの不幸がきざす。」
(『万人幸福の栞』40頁)を読んだあと、突然「娘はもうそろそろ20歳かな?」と
ひらめいた様に思い出しました。
成人式の前に、娘と話をしたい。
東京出張に出かけた春の日、私は思い切って前妻に電話し、罵倒されながらも
娘の電話番号を聞くことができました。
そして、震える指で携帯電話のボタンをグイと押しました。
トゥルトゥルル・・・・5回鳴らして、切りました。
そしてもう一回、ボタンを押しました。
娘「もしもし?」
(高鳴る鼓動)
私「あ、もしもし? 俺、盛岡の かなざわ しげる といいます」
娘「・・・・」
しばらくの沈黙のあと、
娘「え?パパ?」
17年ぶりの娘の声でした。しかも、娘はなんと専門学校を短縮して卒業し結婚するというのです。
◆そして今
今年5月中旬、娘の26歳の誕生日。
Lineビデオでおめでとうコールをすると、向こう側では孫たち3人が「じいじい!」と叫んでいます。
私は「じゃあ、またね~」とLineを切りました。
あの日、成人式の前に電話をかけたあと、私は広島に住む娘と会い、産まれた孫を抱きました。
潜水艦に乗る婿どのとも酒を飲み、今の妻や、93歳の私の父とも会わせることができました。
すべては不確実な上に成り立っています。
結婚するときは別れることを予想などできないし、二度と会えないと思った人とも
再会することもありえます。仕事も完全で確実なことは何ひとつありません。
だから「その人の心の通りに、境遇の方が変るのである」(同37頁)なのです。
実践あるのみ。
そして、すべては「栞にあり」です。
盛岡市倫理法人会
会長 金沢 滋
※1
輪読…
『万人幸福の栞』の17か条から毎週一つのテーマを参加者で声を合わせて段落ごとに読むもの。
※モーニングセミナー参加時の強制ではございません。